ETF(上場投資信託)とは
上場投資信託(じょうじょうとうししんたく)とは、金融商品取引所で取引される投資信託の事。ETF(英語: Exchange-Traded Fund)、上場投信という略称がよく用いられる。一般の投資信託は金銭の出入りにより解約設定されるが、ETFは投信会社指定の現物金融商品による。一般の投資信託は組み入れ資産だけを証券化するのに対して、ETFは投資家の拠出する現物まで証券化する。【Wikipediaより】
簡単に言うと、投資信託を証券取引所に上場させ、市場で取引できるようにしたもののことです。
上場している投資信託ってことね!
細かい点では異なりますが、非上場の投資信託と、上場投資信託(ETF)は、ほとんど同様の金融商品といえます。
ETFと投資信託の違い
2つの違い早見表です。
ETF | 投資信託 | |
---|---|---|
①上場有無 | 上場 | 非上場 |
②買える場所 | 全国の証券会社 | 特定の金融機関、金融機関窓口 |
③買える銘柄 | どの証券会社でも同じ | 証券会社ごとに取扱う商品が違う |
④売買価格(値段の動き) | 市場価格(リアルタイム変動) | 基準価格(1日1回変動) |
⑤買えるタイミング | リアルタイム | 注文した翌日 |
⑥最低売買金額 | 数千円~数万円 | 1000円~ |
⑦自動積立の可否 | 不可 | 可 |
⑧手数料 | 投資信託より安い 証券会社ごとに売買金額で決まる ・販売手数料(株の売買手数料と同じ扱い) |
ETFより高い 銘柄ごとに違う ・販売手数料(0~2.1%) ・解約手数料 ・信託財産留保額 |
⑨信託報酬 | 0.06%~1% | 0.1%~2.5% |
⑩分配金・配当金 | 現金受取 | 現金受取・再投資 |
違いの項目の補足説明をします。
見やすいようにETFについては赤、投資信託については青で記載しています。
①上場有無
投資信託が非上場であるのに対し、ETFは上場しています。
つまり、ETFとは、投資信託を審査して取引所に上場させ、より簡単に売り買いできるようにしたものです。
②買える場所
ETFは上場しているので、株と同じように、どこの証券会社でも同じように取り扱っています。
市場を介して売買でき、全国の証券会社ならどこでも同じように購入することができるという点も、ETFのメリットです。
ETFは証券会社ごとに売買手数料の違いはあっても、上場しているので、取扱数や売買価格が違うということはありません。
「この企業の株はこの証券会社でしか買えない!」
「この企業の株はこの証券会社だと安くて、あの証券会社だと高い!」というのがないのと同じことです。
一方、投資信託は、運用する会社が指定した特定の証券会社や銀行といった金融機関のみで取り扱われています。
そのため、金融機関によって取り扱っている投資信託に違いがあるのがデメリットといえます。
③買える銘柄
どこの証券会社でも同じように買えるETFと異なり、
投資信託は、取り扱う商品や商品数が証券会社によって大きく違います。
④売買価格
ETFは、取引時間内であれば、リアルタイムの価格で売買可能です。
また、株式同様に発注してその場で成立した価格で購入する「成行注文」や、あらかじめ指定した価格で購入する「指値注文」のように、複数の注文方法から選択できることがメリットです。
一方、投資信託は、市場を通じて売買されているわけではなく、1日1回基準価額が算出されます。
そのため、購入時は前日に算出された基準価額で購入することになります。
しかし、リアルタイムの価格での売買にはデメリットもあります。
それは、必ずしも適切な価格で売買できるとは限らない点です。
投資信託は基準価額(純資産総額を口数で割った価格)に基づいて売買できるものの、
価格が需要と供給に基づいて決まるETFでは、価格を完全に想定することができません。
例えば、ETFを10,000円で買いたいと思ったとしても、その価格で売りたいと思う人がいなければ、その価格では購入できません。
⑤買えるタイミング(値段の動き)
ETFは、株と同じようにリアルタイムで売買できます。
そのため、市場がオープンしている間はずっと、値段は動き続けます。
一方、投資信託は値段の動きは1日1回なので、午前に買おうと午後に買おうと値段は同じで、実際に購入されるのも翌日です。
⑥最低売買金額
ETFの場合、最低売買金額は数千円から数万円です。
その金額の計算方法は、株式投資と同様の計算方式です。
(現在の市場価額)×(売買単位)=(最低売買金額)
現在の市場価額は、日本取引所グループに各ETFものが表示されています。
この「現在の市場価額」に「売買単位」(売買する数量)をかけることで、現在最低どのくらいの金額でETFが購入できるかわかります。
なお、実際は、この算出された「最低売買金額」に加えて、手数料などが別途かかります。
一方、投資信託の場合、最低売買金額は1000円~のものも存在します。
投資信託の最低売買金額は、設定されている基準価額によって決まっています。
投資信託の商品によってこの基準価額は異なります。
また、ETFのようにリアルタイムの価格でリアルタイムに購入することはできないので、翌日にならないと売買金額(基準価額)はわかりません。
そのため、購入の際には前日の基準価額などを参考にすると良いでしょう。
⑦自動積立の可否
ETFは、基本的に自動で積み立て投資は行えないことがデメリットといえます。
毎月少額ずつ、自分で積み立て投資をするとしても、毎回投資する手間が発生します。
一方、投資信託では自動積み立てが可能で、金融機関が定めた最低積立額の範囲内であれば、好きな金額で自動積立可能です。
⑧手数料
ETFの場合、株と同様に「いくらの取引なら手数料いくら」と、手数料が証券会社ごとに決まっています。
一方、投資信託の場合、その商品ごとに手数料が違います。
同じ証券会社で同じ金額の投資信託を買う場合でも、商品が違えば手数料が違うことがあったり、同じ投資信託商品でも、証券会社が違えば手数料が違います。
また、投資信託の場合、購入時に金融機関が定めた販売手数料が発生します。
投資信託を売却(解約)する場合にも、投資信託によっては解約手数料や信託財産留保額が徴収される場合があります。
ただ、最近ではネットでの投資信託の販売が可能になり、大きなコストもかからなくなってきたため、販売手数料が発生しない「ノーロード投資信託」と呼ばれるものも登場しています。
⑨信託報酬
ETFの場合、信託報酬は投資信託より安い傾向にあります。
なぜなら、ETFは、基本的には日経平均株価やTOPIXなどの指数に連動することを目指す銘柄で構成されており、組み込み銘柄を選定する手間があまりかからずコストが抑えられる傾向にあるからです。
一方、投資信託の場合、運用方針によって信託報酬が異なり、信託報酬はETFより高い傾向にあります。
運用会社が独自に構成銘柄を指定する「アクティブファンド」の場合、運用会社が銘柄を組み込むにあたり、調査などの手間がかかることから、信託報酬は高くなります。
しかし、ETFと同様に指数に連動した「インデックスファンド」の場合、ETFと同様に、信託報酬は安い傾向にあります。
⑩分配金・配当金
ETFでは、運用で得た利益や配当金を、分配金として直接現金で支払われます。
分配金は、毎年の決算により1口あたりいくら支払われるのかが決まります。
1口保有→1,000円受取
100口保有→100,000円受取
一方、投資信託では、投資信託によってその分配のされ方が異なります。
運用に再投資したり、分配金として直接現金として支払われるかのどちらかになります。(選択可能)
ETF(上場投資信託)と株式の違い
※記載の色
ETF=赤 株式投資=青
①分散投資の可否の違い
分散投資とは、国や業種などの異なるものを複数組み合わせることによって、1つの国、1つの業種に大幅な変動があった際に、資産を減らすリスクを軽減することができます。
ETFは、複数銘柄で構成され、世界各国の数千の銘柄が組み込まれているものもあるため、自然と分散投資ができるようになっています。
一方、株式投資は、個別に企業の株を購入していくものですが、ETFと同じくらいの数の銘柄を手動で購入していくことは難しいです。
投資経験が豊富であれば、分散投資を意識して株式投資もできると思いますが、投資初心者の場合には、リスクをなるべく避けるため、ETFでの分散投資がより安心な投資になります。
②手数料の違い
ETFと株式投資は、どちらも証券会社が定めた売買手数料がかかりますが、ETFの場合、運用時の手数料も別途発生します。
全て自分で行う株式投資と違って、ETFの運用は運用会社が行うため、それらにかかるコストとして「信託報酬」を支払う必要があります。
一方、株式投資は自分で運用を行うため、運用期間中にこうした手数料は発生しません。
ETFの特徴まとめ
✓どこの証券会社でも変わらない価格で購入できる
✓株式投資と比べて、少額から投資可能
✓指数連動させることでリスクを抑えるという分散投資が可能
✓複数銘柄で構成されているため、単独では投資しにくい商品にも投資可能
✓投資信託より手数料が安い
✓株式投資のように、個別で企業を選択する手間がかからない
ぜひETFを始めてみてください。
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